インタビュー:SAKO建築設計工社 管理建築士 西川 創氏
武蔵塗料ホールディングス(株)
グリックビル
2019年5月新築施工:屋上面、両側面、背面に適温空間塗料「ルミナスター」を塗装
両側をビルに挟まれた建物への施工効果
今回の事例では、建物の両側からビルに挟まれています。そのため外壁に塗ったルミナスターの効果は特徴的なものになります。都会の佇むビルの外気と室温の関係を下記の図によって示しています。建物の温度の変化を表しているのと同時にエネルギー消費の比較を行なっています。
夏場:ルミナスターを塗った場合
外壁にルミナスターを塗った場合、建物への直射日光から受ける熱気の伝達を抑えます。それに加え左右の建物から放射されるふく射熱の影響を抑えるため、冷房に使うエネルギーは抑えられます。
夏場:何も塗らない場合
外壁にルミナスターを塗っていない場合、夏場では特に間に挟まれたビルに熱気がより伝わりやすくなります。太陽光によって建物が暖められふく射熱として隣のビルへ熱が伝達されます。中央にあるビルは両側から輻射熱を受けるのでより温まり、冷房のエネルギー消費が多くなります。
冬場:ルミナスターを塗った場合
冬場に外壁にルミナスターを塗った場合、暖房の使用エネルギーを抑えることができる。室内の暖気を外気へ流出させずらくなります。
冬場:何も塗らない場合
外壁にルミナスターを塗っていない場合、暖房の使用エネルギーが多くなります。左右のビルの内部の暖気が流出し、中央のビルに影響を及ぼします。そのため、左右のビルに比べて多少使用エネルギーは少なくなります。
天井に降り注ぐ太陽光による蓄熱の効果
屋上に降り注ぐ太陽光は建物に熱を蓄えさせます。ルミナスターを塗っていない場合、蓄熱された熱気が室内へ伝わり建物全体の室温が上昇します。ルミナスターが塗装されていれば太陽光の吸収を最小限に抑えることが可能になります。
断面作用とエネルギー量比較グラフ
左図は、ルミナスターの断面図で温度の伝達を可視化しています。右図は塗装の有無による消費エネルギーの比較グラフです。人が快適と感じる温度帯に調整するために、夏季と冬季ではより多くのエネルギーを使用することがわかります。ルミナスターを塗装することで少ない消費エネルギーで快適な温度を保つことができます。
SAKO建築設計工社 管理建築士 西川 創氏
学歴
早稲田大学理工学部建築学科
職歴
清水建設株式会社 入社 本社設計部配属
清水建設株式会社PDS設立に参加 初代社長就任 同社は設計コンサル業
結建築設計事務所代表
建築瑕疵担保保険 たてもの保険株式会社 専務取締役
専門分野
商業施設、宿泊施設、専門店ビルなど多種類の建築設計を行うだけでなく、都市開発分野なども手掛け、総合的なプロデュース業務に携わる。
また太陽光設備を普及開始時から積極的に取り扱い、多数の施設に導入している。
現職
株式会社 WB技術顧問
SAKO建築設計工社 管理建築士
SIソーラー 技術顧問
著書
建築計画・設計シリーズ 商業施設 共著
コンバージョン・リノベーション 総合ユニコム
受賞歴
第27回 SDA大賞 アポロドーム
建築学会賞 共同受賞 伊勢おはらい町 おかげ横丁
那覇市都市景観商
他多数
SAKO建築設計工社:http://www.sako.co.jp/